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コレステロールは悪いもの?
著者:
ヨミサプ運営チーム(管理栄養士)

コレステロールは悪者と思われがちですが、体に欠かせない脂質の一つです。この記事では、そのはたらきや適切な付き合い方についてわかりやすく解説します。
コレステロールとは?
コレステロールは、私たちの体に欠かせない脂質のひとつです。悪者のように扱われがちですが、実は体内で大切な役割を担っています。

コレステロールの歴史
コレステロールの歴史は古く、18世紀の終わり頃に人の胆石の中から発見されました。その後、研究が進むにつれて、細胞膜やホルモンの材料として体の維持に深く関わっていることが明らかになってきました。
善玉と悪玉の違い
血液中を流れるコレステロールは、リポタンパク質という物質に包まれています。その中で、血管の壁にたまったコレステロールを回収して肝臓に戻すはたらきをするのがHDLコレステロールで、一般的に善玉と呼ばれます。一方で、肝臓から体全体の細胞へコレステロールを運ぶのがLDLコレステロールであり、悪玉と呼ばれています。どちらも体にとって必要なものですが、バランスが崩れると健康への影響が出てきます。
コレステロールのはたらき
コレステロールには、体をつくり、健康を維持するための大切な役割があります。体内でどのように使われているのか見ていきましょう。
細胞膜をつくる材料
私たちの体を形作る無数の細胞の周囲には、細胞膜という薄い膜が存在しています。コレステロールはこの細胞膜の重要な構成成分の1つです。細胞膜に適度な柔軟性と丈夫さを与えることで、細胞の形を保ち、内外の物質のやり取りをスムーズに行うはたらきを支えています。体内の細胞が正常に機能するためには、なくてはならない材料となっています。
ホルモンや胆汁酸の材料になる
コレステロールは、体の調子を整えるホルモンや、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の材料としても使われます。具体的には、副腎皮質ホルモンや性ホルモンといった、生命活動や体の成長に関わるステロイドホルモンの合成に不可欠です。また、肝臓でコレステロールからつくられる胆汁酸は、小腸で食事からとった脂質の消化や吸収を助ける重要な役割を果たしています。
コレステロールはどれくらい必要?
私たちの体で大切な役割を担うコレステロールですが、毎日の食事からどれくらいの量を意識してとれば良いのでしょうか。ここでは、必要な量の目安について見ていきましょう。
食事由来のコレステロールと摂取目安
日本人の食事摂取基準では、健康な人におけるコレステロールの食事からの目標量や上限値は特に設けられていません。これは、食事からとる量よりも、体内で合成される量の方が多いためです。体の中では、食事からの量が減ると合成量を増やし、増えると合成量を減らすことで一定のバランスを保つ仕組みが備わっています。そのため、健康な方は過度に神経質になる必要はなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
脂質異常症の人は上限値がある
健康な人には特定の目安がない一方で、すでに脂質異常症と診断されている方や、悪玉コレステロール値が高いと指摘されている方には注意が必要です。脂質異常症の重症化を防ぐ観点から、食事からのコレステロールを控えめにするよう指導されることがあります。自分の体の状態を知り、必要に応じて専門家に相談しながら食事内容を調整していくことが、健康を維持するための大きなポイントとなります。
コレステロールの不足ととり過ぎについて
体内で大切な役割を担うコレステロールですが、量が不足したり逆に多すぎたりすると、体にどのような影響があるのでしょうか。
コレステロールが不足すると
コレステロールは細胞膜やホルモンのもととなるため、極端に不足すると体のさまざまな機能に影響が及びます。例えば、血管がもろくなって出血しやすくなったり、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなったりすることがあります。ただし、通常の食生活を送っていれば不足することはまれであり、過度な食事制限などを行わない限りは心配いりません。
コレステロールをとり過ぎると
コレステロールを多く含む食品を食べたからといって、直ちに血液中のコレステロール値が高くなるわけではありません。しかし、肉の脂身やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸のとり過ぎや、食物繊維の不足、エネルギーの過剰摂取が続くと、悪玉(LDL)コレステロールが増えやすくなります。その結果、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める可能性があります。
コレステロールを多く含む代表的な食品
卵黄・レバー・魚卵・イカ・タコ……など
コレステロール値は食事以外でも変化する
コレステロール値は、食事の内容だけに左右されるわけではありません。生活習慣や生まれ持った体質など、食事以外の要素によっても大きく変動します。
生活習慣の要因
食事に気をつけていても、日々の生活習慣が乱れているとコレステロール値に影響が出ることがあります。例えば、運動不足が続くとエネルギーの消費量が減り、脂質の代謝がスムーズにいかなくなるため注意が必要です。また、喫煙は血管を傷つけるだけでなく、善玉コレステロールを減らす要因となります。
ほかにも、日々の忙しさからくる慢性的なストレスや、睡眠不足が続くこともホルモンバランスを乱すきっかけになります。こうした日常の習慣が、知らず知らずのうちに数値の変動を引き起こしているのです。
遺伝的な要因
生活習慣に大きな問題がないにもかかわらず、コレステロール値が高くなる場合があります。その背景には、遺伝的な体質が関係していることも少なくありません。代表的なものとして、遺伝子変異などが原因で生まれつき悪玉コレステロール値が高くなりやすい「家族性高コレステロール血症」があげられます。
このような遺伝的要因がある場合、食事や運動を見直すだけでは十分に数値を下げられないことがあります。もし血縁者に若い頃から数値が高い人が多い場合は、こうした体質が影響している可能性があるため、専門の医療機関で相談してみるのも一つの方法です。
まとめ
コレステロールは細胞膜やホルモンをつくるために欠かせない大切な成分です。体内で十分に合成されるため食事からの摂取基準には上限がありませんが、脂質異常症の人は注意が必要です。数値が高い場合は、まずは日々の食事や運動を振り返り、できることから前向きに取り組んでいきましょう。
■参考資料
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)
文部科学省 日本食品標準成分表(2020年)八訂
この記事について
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ヨミサプ運営チーム(管理栄養士)
エームサービス株式会社に所属する管理栄養士で構成。給食・食の現場で培った知見をもとに、日々の食と健康に役立つ確かな情報をわかりやすく発信しています。
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