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未病 フレイル対策
「未病」のうちに始めたいフレイル対策
2026/4/28

未病の状態は、心身の活力が低下する「フレイル」の入り口になることも少なくありません。しかし、フレイルは適切な対策によって予防・改善が可能です。この記事では、なぜ未病のうちからの対策が健康寿命を延ばす鍵となるのかを解説し、今日から始められる栄養・運動・口腔ケア・社会参加という4つの柱に基づいた具体的なフレイル対策を紹介します。
「未病」と「フレイル」の関係性
「フレイル」は加齢にともなって心身の活力が低下し、要介護状態になりやすい状態のことです。 未病とも密接に関係しており、フレイルは未病の一つの具体的なあらわれと捉えることができます。 健康と要介護の中間にあたるこの段階で、適切な対策をとることが重要です。
心身の活力が低下する「フレイル」
フレイルは、英語の「Frailty(虚弱)」を語源とする言葉で、2014年に日本老年医学会が提唱した概念です。 これは単なる老化現象とは異なります。フレイルは、主に「身体的」「精神・心理的」「社会的」という3つの側面から構成されています。 身体的フレイルは、筋肉量の減少による歩行速度の低下や転倒しやすさなどを含みます。 精神・心理的フレイルは、認知機能の低下や気分の落ち込みなどが挙げられます。 そして、社会的フレイルは、孤立や閉じこもりといった人とのつながりの希薄化を指します。 これらの要素は互いに影響し合い、悪循環に陥ることでフレイルが進行していきます。
なぜ未病のうちからのフレイル対策が重要なのか
フレイルは、病気に向かう手前の「未病」の段階で気づき、対策を始めることが、その後の人生の質を大きく左右します。 症状が深刻化する前に生活習慣を見直すことで、より健やかな状態を長く維持することが可能になります。
●健康寿命を縮めるフレイルの脅威
フレイルを放置すると、様々な病気にかかりやすくなるだけでなく、転倒や骨折のリスクが高まります。これが引き金となり、自立した生活が困難な要介護状態へと進んでしまう可能性が高まります。結果として、日常生活に制限なく過ごせる期間を示す「健康寿命」が短くなる大きな要因となります。 日本人の平均寿命と健康寿命の間には約10年の差があるといわれており、この期間をいかに短くするかが課題です。
●フレイルは改善できる可逆的な状態
フレイルの最も重要な特徴は、それが「可逆的」である、つまり元の健康な状態に戻る可能性があるという点です。病気とは異なり、フレイルは早期に発見し、栄養改善・運動・社会参加といった適切な取り組みを行うことで、進行を防いだり、健康な状態に回復したりすることが十分に可能です。このため、心身の衰えを感じ始めた「未病」の段階で対策を始めることが、健康寿命を延ばすための鍵となります。
今すぐ始めたい3つのフレイル対策
フレイルは「栄養」「口腔機能」「運動」の3つにはたらきかけることで、進行を防いだり、健康な状態に戻したりすることが期待できます。これらは互いに深く関係しているため、どれか1つではなく、バランスよく対策を始めることが大切です。ここでは、今日からでも実践できる具体的な3つの対策をご紹介します。
フレイル対策の基本となる栄養改善
フレイルの背景には、食事量の減少による低栄養が隠れていることが少なくありません。特に筋肉をつくる材料となるたんぱく質が不足すると、筋力が低下しやすくなります。1日に必要な量は、フレイル予防のためには体重1kg当たり1.0g以上が望ましいとされています。 例えば体重が60kgの方なら、1日60gが目標です。 肉・魚・卵、そして豆腐や納豆などの大豆製品といったたんぱく質を多く含む食品を、毎食の献立に意識してとり入れましょう。 また、多様な食品をバランスよくとることも重要です。主食・主菜・副菜をそろえた食事を1日3食欠かさずにとることを基本としましょう。
オーラルフレイルを防ぐ食事の工夫
「硬いものが食べにくい」「お茶や汁物でむせることがある」といった口に関するささいな衰えは「オーラルフレイル」と呼ばれ、全身のフレイルにつながるサインです。 噛む力が弱まると、柔らかいものばかりを選んでしまい、栄養が偏りがちになります。 食材を少し小さく刻んだり、加熱時間を長くして柔らかくしたりするなど、調理の工夫で食べやすくなります。また、たくあんなどを細かく刻んでご飯に混ぜ込むと、噛む回数を意識できるでしょう。 定期的に歯科医院で口の状態をチェックしてもらうことも、オーラルフレイルの予防には欠かせません。
運動の柱 無理なく筋力を維持する
加齢による筋肉量の減少は、フレイルの大きな原因の1つです。 しかし、高齢者であっても適切な運動を行えば、筋力を維持・改善できることが分かっています。 まずは無理なく続けられる運動から始めてみましょう。少し遠くのスーパーまで歩くウォーキングや、テレビを見ながらできるかかとの上げ下ろし運動などがおすすめです。 家事をする際に、いつもより少しだけ大きな動きを意識するだけでも、良い運動になります。 大切なのは、一度にたくさん行うことよりも、楽しみながら毎日少しずつでも継続することです。
社会参加~人との交流を楽しむ~
フレイルは、身体的な機能の低下だけでなく、社会とのつながりが少なくなることでも進行します。人との交流を楽しみ、社会的な役割を持つことは、心身の活力を保ち、健康寿命を延ばすための大切な柱です。 孤立を防ぎ、生きがいを持って暮らすために、意識して社会と関わる機会をつくりましょう。

ボランティア活動や就労のすすめ
定年退職後も、長年培った経験や知識を活かせる場はたくさんあります。地域のボランティア活動やシルバー人材センターなどを通じた就労は、社会的な役割を再認識し、生活に張りをもたらしてくれます。 例えば、地域の美化活動や、子どもたちの見守り活動、趣味を活かした講師など、自分に合った活動を探してみましょう。誰かの役に立っているという実感は、大きな生きがいにつながります。お住まいの地域の社会福祉協議会や自治体のウェブサイトで情報を探すのがおすすめです。
外出の機会を増やす工夫
フレイル予防は、1日に1回は外に出ることから始まります。 買い物や散歩といった日常的なことでも、立派な社会参加の一つです。 用事がなくても、少し散歩するだけで気分転換になり、身体を動かす良い機会になります。 地域のイベントや公民館の講座、趣味のサークルなどに参加してみるのも良いでしょう。 新しい友人との出会いや共通の話題は、生活をより豊かなものにしてくれます。まずは近所の図書館に足を運んだり、友人とお茶の約束をしたりと、気軽なことから始めてみませんか。
まとめ
心身の活力が低下するフレイルは、健康寿命を縮める一方で、改善も可能な状態です。だからこそ、特定の不調がない「未病」の段階から対策を始めることが大切なのでしょう。フレイル対策の基本となるのは「栄養」「運動」「社会参加」です。食事の工夫や無理のない運動・人との交流を意識することが、予防の第一歩になります。まずはできることから実践し、ご自身の心と体の変化を振り返ってみてはいかがでしょうか。
■参考資料
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年度版)

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