ヨミサプ~ヨム・ミル・サプリ~
バックナンバー
ヨミサプ~ヨム・ミル・サプリ~

#

    冷え性 知っておきたい話

      冷え性の知っておきたい話

      2025/12/16

      冷え性は日本人にとってなじみ深い症状のひとつですが、その背景には自律神経や血流、ホルモンの変化など、複雑な要因が関係しています。さらに、東洋医学では「未病」のサインとされるなど、古くから注目されてきました。この記事では、冷え性を知る上で大切な情報を多角的にご紹介します。

      体温調整の仕組み

      「冷え性」は体の冷えを感じる状態ですが、そもそも人の体温調整の仕組みについて知っておくことが大切です。

      人の体温は一定に調整されている

      私たちの体温は、脳の中にある「視床下部(ししょうかぶ)」という場所が中心となってコントロールしています。視床下部は、皮膚や体の奥にある温度センサーから情報を受け取り、「体を温める」か「熱を逃がす」かを判断して、体に指示を出します。

      体温を保つためには、熱をつくること(産熱)と熱を逃がすこと(放熱)のバランスがとても大切です。熱をつくる仕組みには、寒いときに体が小刻みに震える「ふるえ(シバリング)」や、体の中で自然に行われる代謝、さらに甲状腺ホルモンやアドレナリンといったホルモンのはたらきがあります。一方、熱を逃がすときは、血管を広げたり、汗をかいたり、呼吸で熱を外に出すことで体温を下げています。

      体温調整に重要な自律神経

      このような体温調節を支えているのが自律神経です。寒いときには交感神経が優位になり、血管を収縮させて熱を逃がさないようにします。逆に暑いときには副交感神経がはたらき、血管を広げて発汗を促し、体温を下げます。

      しかし、ストレスやホルモンの変化でこのバランスが崩れると、体温調節がうまくいかず、冷えやほてりといった不快な症状が出やすくなります。

      深部体温と末梢温度の違い

      体の奥にある深部体温(脳や内臓の温度)はおおよそ37.0℃で安定していますが、手足などの末梢温度は環境や血流の状態によって変動しやすいのが特徴です。冷え性は、この末梢温度が下がりやすい状態を指します。つまり、体の中心はしっかり温まっていても、血流がうまく届かないために手足が冷たくなるのです。

      この「深部は温かいのに末端が冷たい」というギャップが、冷え性特有のつらさの原因のひとつです。特に長時間の座り仕事や運動不足、ストレスなどで血流が滞ると、末梢温度はさらに下がりやすくなります。

      平熱低めと冷え性の関係

       冷え性とあわせてよく話題になるのが「平熱が低い」ということです。どちらも“体温”に関係するため混同されがちですが、実は仕組みや原因は異なります。

      そもそも平熱とは?

      平熱とは、健康な状態での体温のことを指します。一般的には36.0〜37.0℃の範囲に収まりますが、個人差が大きく、朝と夕方で0.5℃ほど変動するのも自然なことです。

      平熱低めと冷え性の違い

      「平熱が低いから冷え性」というのは誤解です。

      平熱が低めの人は、深部体温もやや低く、代謝が少し低い傾向がありますが、手足の冷えを必ずしも感じるわけではありません。

      冷え性の人は、深部体温は正常でも、末端の血流が悪く、手足が冷たくなるのが特徴です。

      両方が重なるとどうなる?

      平熱が低めで、さらに末梢血流が悪い場合、疲れやすくなったり、免疫力が下がりやすくなることがあります。特に女性や運動量の低下や加齢による筋肉量の減少がある場合は、体温維持が難しくなり、冷えの自覚が強くなることも。

      「平熱が低い=冷え性」ではないものの、重なると注意が必要という理解が大切です。

      冷え性と更年期の関係

      更年期は、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が急激に減少する時期です。エストロゲンは血管の柔軟性を保ち、体温調節をスムーズにする役割を担っています。このホルモンが減ると、脳の視床下部にある体温調節中枢が過敏に反応し、わずかな体温変化でも「体を冷やせ」という指令が過剰に出されます。その結果、顔や上半身の血管が急に拡張してホットフラッシュ(のぼせ・発汗)が起こります。

      なぜ冷え性とつながるのか?

      ホットフラッシュの後、体は急激に熱を逃がすために大量の汗をかきます。そして体温が下がりすぎてしまい、今度は寒気や手足の冷えを感じることがあります。つまり、更年期の冷え性は「血流の乱れ」と「体温調節の誤作動」が重なって起きる現象です。

      特に、「顔は熱いのに足先は冷たい」「発汗後にゾクッと寒気がする」といった症状は、更年期特有の体温調節の不安定さを示しています。

      自律神経の乱れが拍車をかける

      エストロゲンは自律神経の安定にも関与しています。ホルモンの分泌低下により、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなり、血管の収縮・拡張が極端になりやすいのです。さらに、ストレスや睡眠不足が加わると、自律神経のバランスはさらに崩れ、冷えやほてりが悪化します。

      前向きなケアが大切

      こうした冷えやホットフラッシュは、体の変化を知らせるサインでもあります。年齢のせいだから仕方がないと放置せず、生活習慣の見直しや、必要に応じて医療機関での相談、漢方や栄養サポートなど、自分に合ったケアを取り入れることが大切です。

      文化と冷え:日本の養生

      日本人は古くから「冷え」を体調不良のサインとして意識してきました。江戸時代の養生書(現在の健康雑誌のようなもの)には、「冷えは万病のもと」という考え方が記され、衣服や食事、入浴などを通じて体を温める工夫が紹介されています。たとえば、季節に応じた衣替えや、温かい汁物を食事に取り入れる習慣は、この時代から続く知恵です。

      湯治は「冷え」対策

      また、湯治文化も冷え対策と深く関わっています。温泉に浸かることで血流を促し、体を芯から温める習慣は、疲労回復や病気予防の一環として広まりました。温泉地が「療養の場」として発展した背景には、冷えや血行不良を改善する目的があったのです。

      身近な「温活」

      現代では、「温活」という言葉が広く使われるようになりました。これは、体を温めることで代謝や血流を整え、冷えによる不調を防ぐライフスタイルを指します。具体的には、

      温かい飲み物や食事を選ぶ、腹巻きで体の中心を保温、マフラー、手袋、レッグウォーマーで“首”を温める、ぬるめのお風呂でじっくり温まる、といった方法が人気です。

      こうした文化的背景は、冷え性が単なる「寒がり」ではなく、健康を守るための重要なテーマであることを示しています。昔ながらの知恵と現代の科学を組み合わせることで、冷えと上手に付き合うヒントが見えてきます。

      まとめ:冷え性を読み解くヒントに

      日本は昔から「体の冷え=冷え性」を重要視していました。体温調整の仕組みや、ライフステージに起きる変化を知っておくことは、冷え性への対策をする上で役立ちます。冷え性を理解することで、自分の体と向き合うヒントが見えてきます。ぜひ、日々のケアに役立ててみてください。

      この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを専門医がオンライン上で監修する「メディコレWEB」の認証を受けています。

       

      TOP

      Back Number