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# 骨の健康

    ロコモティブシンドローム

      ロコモティブシンドロームとは

      2026.03.04

      加齢とともに、骨や関節、筋肉といった運動器の機能は徐々に低下していきます。これらが衰え、立つ、歩くといった移動機能が低下した状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と呼びます。この記事では、ロコモの基礎知識やセルフチェックの方法、日本整形外科学会が推奨する予防運動「ロコトレ」について解説します。

      ロコモティブシンドロームの概念と重要性

      近年注目を集めている「ロコモティブシンドローム」という言葉の意味や、なぜ今その対策が必要とされているのか、その背景と重要性について解説します。

      ロコモティブシンドロームとは何か

      ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、「運動器の障害により移動機能の低下をきたした状態」のことを指します。

      運動器とは、身体の土台となる「骨」、骨と骨をつなぐ「関節」、体を動かす動力源である「筋肉」、そしてそれらを制御する「神経」などで構成されています。これらのいずれか、あるいは複数に障害が起きることで、歩行や日常生活に支障をきたし、将来的に要介護になるリスクが高い状態、またはすでに要介護の状態にあることがロコモティブシンドロームです。

      特に「骨」の健康はロコモと深く関わっています。骨がもろくなる骨粗しょう症が進行すると、わずかな衝撃で骨折しやすくなり、それをきっかけに寝たきりになってしまうケースも少なくありません。つまり、ロコモは単なる筋力不足だけの問題ではなく、骨や関節を含めた運動器全体の老化現象として捉える必要があります。

      なぜ今ロコモティブシンドロームが注目されているのか

      日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えており、高齢者の健康維持が社会的な課題となっています。これまで生活習慣病予防の観点から、内臓脂肪の蓄積による「メタボリックシンドローム(メタボ)」が強く叫ばれてきました。しかし、実際に要支援、要介護になる原因を調べてみると、メタボに関連する脳血管疾患や心疾患だけでなく、転倒、骨折や関節疾患といった「運動器の障害」が非常に大きな割合を占めていることが分かってきました。

      メタボが心臓や脳などの内臓器の病気を引き起こすリスクであるのに対し、ロコモは「動けなくなる」リスクに直結します。現代社会では、交通機関の発達やデスクワークの増加により、若い世代でも運動不足による骨や筋肉への刺激が不足しがちです。高齢者だけの問題ではなく、早い段階から骨や筋肉の健康に関心を持ち、対策を講じる必要があるため、国を挙げてロコモの予防、啓発活動が進められています。

      ロコモティブシンドロームのチェックと早期発見

      ロコモティブシンドロームの恐ろしいところは、自分では健康だと思っていても、骨の強度が低下していたり、筋肉量が減っていたりと、知らず知らずのうちに進行しているケースが多いことです。 早期に発見し対策を講じるためには、日頃から自分の身体の状態を客観的に把握しておくことが大切です。

      自分で確認できるロコモティブシンドロームのサイン

      特別な器具を使わずとも、日常生活の中で見られるサインからチェックできます。 日本整形外科学会では、ロコモの可能性に気づくための「ロコチェック(7つのロコチェック)」を提唱しています。 以下の項目に1つでも当てはまる場合、運動器の機能が衰え始めている可能性があります。

      ●片脚立ちで靴下がはけない
      ●家の中でつまずいたりすべったりする
      ●階段を上るのに手すりが必要である
      ●家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
      ●2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
      ●15分くらい続けて歩くことができない
      ●横断歩道を青信号で渡りきれない

      これらは、単なる加齢による衰えとして見過ごされがちですが、骨粗しょう症や変形性関節症といった骨や関節の病気が隠れているサインかもしれません。

      ロコモ度テストでわかる現在のリスクレベル

      日常生活のサインで不安を感じた方は、より具体的に身体能力を数値化する「ロコモ度テスト」を行ってみることをおすすめします。 これは「立ち上がりテスト」「ツーステップテスト」「ロコモ25」の3つのテストから構成されており、現在の移動機能の状態を判定するものです。 このテストを行うことで、自分が「ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている)」、「ロコモ度2(移動機能の低下が進行している)」、あるいは「ロコモ度3(移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたしている)」のどの段階にあるかを知ることができます。

      正確な測定方法や判定基準については、専門機関の情報を参照しながら行うと良いでしょう。ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトでは、詳しい判定方法が紹介されています。

       詳しくはこちら ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモチャレンジ!」

      ロコモティブシンドロームを予防する具体的な運動メニュー

      いつまでも自分の足で歩き続けるためには、足腰の筋肉を鍛えるだけでなく、体を支える「骨」そのものを強く保つことが重要です。骨は、適度な負荷や衝撃がかかることで、その強度を維持、向上させる性質を持っています。

      日本整形外科学会推奨ロコトレの実践方法

      ロコモティブシンドロームの提唱元である日本整形外科学会では、「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」と呼ばれる2つの基本的な運動を推奨しています。これらは医学的な根拠に基づき、効率よく足腰を鍛えられるよう設計されています。

      一つ目は「片脚立ち」です。左右どちらかの足を床から5〜10cm程度上げ、片足で立ちます。必ずテーブルや壁などにつかまり、転倒しないように注意して行います。左右それぞれ1分間ずつ、1日3回行うことが推奨されています。この運動による大腿骨(太ももの骨)の付け根への負荷は、両足で約50分間歩くのと同程度の効果があるとされており、骨を強くするためにも非常に効率的です。

      二つ目は「スクワット」です。足を肩幅より少し広めに開いて立ち、お尻を後ろに引くようにしてゆっくりと膝を曲げ伸ばしします。このとき、膝がつま先より前に出ないようにすること、そして膝が内側に入らないようにすることがポイントです。深呼吸をするペースで5〜6回繰り返し、それを1日3セット行います。太ももの前後の筋肉やお尻の筋肉など、下半身全体を広範囲に鍛えることができます。

      詳しいフォームや動画解説については、ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトなどで確認することができます。正しいフォームで行うことが、怪我を防ぎ効果を高める近道です。

      詳しくはこちら ロコトレ | ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

      無理なく続けるための工夫

      運動は「たまに激しく行う」よりも「毎日少しずつ続ける」ことの方が、骨や筋肉の維持には効果的です。しかし、新たに時間を設けて運動しようとすると、三日坊主になってしまうことも少なくありません。

      継続するためのコツは、日常生活の動作とセットにする「ながら運動」を取り入れることです。例えば、「歯磨きをしながら片脚立ちをする」「テレビのCM中だけスクワットをする」「電子レンジの待ち時間にかかと落としをする」といった具合です。生活の一部に組み込むことで、意識せずとも自然に運動量を確保できるようになります。

      また、痛みがある場合は無理をしないことが鉄則です。膝や腰に痛みを感じる日は回数を減らすか、椅子に座ったまま膝を伸ばす運動に切り替えるなど、体調に合わせて調整しましょう。運動だけでなく、骨の材料となるカルシウムやたんぱく質を食事でしっかりとることも、ロコモ予防の両輪として忘れてはなりません。

      ロコモティブシンドロームは治るのか

      「ロコモと判定されたら、もう元の体には戻らないのでしょうか」という心配をされる方がいらっしゃいますが、そのようなことはないことが大半です。ロコモティブシンドロームは、運動器の機能が低下している「状態」を指す言葉であり、適切な対策を行うことで改善が十分に可能です。

      私たちの体は、骨も筋肉も代謝を繰り返しており、何歳になっても適切な運動や栄養摂取による刺激に応答して作り替えられています。つまり、運動習慣を見直し、骨を強くするカルシウムや筋肉のもとになるたんぱく質を意識してとることで、低下した機能を取り戻したり、進行を食い止めたりすることができるのです。

      まとめ

      ロコモティブシンドロームは、骨や関節、筋肉といった運動器の機能が低下し、将来的な要介護のリスクが高まる状態を指します。いつまでも自分の足で歩き続けるためには、ロコモ度テストで現状を正しく把握し、早期に対策を講じることが重要です。

      日本整形外科学会が推奨するロコトレなどの運動を習慣化すれば、機能の維持や改善が十分に期待できるでしょう。まずはご自身の体の状態をチェックし、無理のない範囲で今日から運動を実践してみてはいかがでしょうか。

      ■参考資料
      日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモオンライン(2026年1月21日現在)

      この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを専門医がオンライン上で監修する「メディコレWEB」の認証を受けています。

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