# 時間栄養学
「いつ」を意識して食べよう
「いつ」を意識して食べよう
2025.2.5

私たちがとる食事は、いつ食べるかで体に与える影響が異なることをご存じですか?今回は、注目が高まっている時間栄養学をテーマに、体内時計と食事のタイミングについてご紹介します。
体内時計と時計遺伝子
体内時計
私たちの体には体内時計が備わっており、体温や血圧の変化、ホルモンの分泌、睡眠、糖・脂質の代謝などの生理機能をコントロールしています。一般的にヒトの体内時計の周期は約24時間よりやや長いという説が有力です。そのため、毎朝日光を浴び、朝食をとることで体内時計をリセット(再スタート)します。さらに、お昼にお腹が空き、夜に眠くなるというリズムも、この体内時計の働きによるものです。
時計遺伝子
体内時計の働きは、細胞に存在する「時計遺伝子」によってコントロールされ、さまざまな日内リズムをもたらしています。そのため、体内時計がずれてしまうと、ストレスや、倦怠感、肌荒れ、老化、病気のリスクが高まるなどの可能性もあります。反対に体内時計を整えることで、健康だけでなく、仕事のパフォーマンスや学校の成績にも関係すると言われています。
あなたのクロノタイプは朝型?夜型?
クロノタイプとは?
体内時計には個人差があり、それぞれが持つ時間的なタイミングの傾向をクロノタイプと呼びます。一般的に、朝型、中間型、夜型に分けられます。クロノタイプの特徴として、20~30代で夜型になりやすく、その後年齢と共にゆるやかに朝型になっていきます。朝型の人は、午前から日中にかけて活発に活動し、夜はすぐに眠くなりやすい傾向があります。一方、夜型の人は夕方から夜にかけて活発に活動し、夜更かしをして朝寝坊してしまうことが多いです。また、夜型の人は平日と休日の生活リズムの時差が大きいこともわかっています。
チェック方法
クロノタイプを簡易的にチェックする方法がありますので、ぜひ確認してみてください。下記のサイトより、朝型夜型質問紙に記載の19問の質問に回答することで、ご自身の傾向がわかります。
https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php
ご自身のクロノタイプは何型でしたか?クロノタイプが朝型と夜型では、日中の眠気や注意力、作業記憶などが逆転しており、パフォーマンスにも影響を及ぼすことがあります。
夜型は全体的に健康指標で不利なことが多く、多くの疾患リスクが高いと言われています。反対に、朝型は肥満になりにくく、運動能力が優れ、うつや精神障害などのリスクが低いことがわかっています。
社会的時差ボケ
平日は仕事や学校などで早起きし、休日はその必要がないため夜更かしをしたり遅く起きたりする方も多いのではないでしょうか?このように平日と休日の睡眠時間に差が生じることにより生活リズムが変動することを社会的時差ボケ(social jetlag)と言います。クロノタイプが夜型になるほど社会的時差ボケが大きくなるということが報告されていますが、年齢や社会環境の変化も大きく影響しています(※1)。
また、社会的時差ボケが大きい人ほど、肥満傾向や睡眠の質の低下などにつながりやすいとも言われていますので、休日は平日となるべく同じ時刻に就寝・起床して社会的時差ボケを改善しましょう(※2)。

体内時計の整え方
体内時計の乱れは、さまざまな疾患と関連することが明らかになっています。体内時計には、脳の視交叉上核(目の奥あたりに位置する)にある主時計と、内臓や筋肉、血液中の白血球などに存在する末梢時計があります。この体内時計を整えるには「光」「食事」「運動」の3つの刺激が朝の同じ時間帯に起こることで、体内時計が整います。
光の刺激
朝に太陽の光を浴びることで、体内の主時計がリセットされ、昼夜のサイクルが整います。午前中に意識して光を浴びましょう。
食事の刺激
朝食をとることで、肝臓や腎臓、消化器官などの内臓の末梢時計がリセットされます。朝食は、その日一日を活発に過ごすための重要なエネルギー源でもあります。昼食は、日中最も活動的になる時間帯にとるのが理想的です。朝食をとってから約5時間後を目安にしましょう。夕食は、消化・吸収に関わる臓器の活動が低下するため、できるだけ早い時間に済ませましょう。夜遅い食事は肥満の原因になるだけでなく、食欲を減退させ、翌朝にも影響を及ぼします。
また、カフェインは入眠を妨げたり、睡眠を浅くしたりするため、就寝前の3~4時間は控えるようにしましょう。
運動の刺激
軽い運動は筋肉の時計のリセット作用に役立つと言われています。軽いジョギングやウォーキング、ストレッチなどがおすすめです。
「食べるタイミング」を味方に
時間栄養学という分野を聞いたことはありますか?これは、従来の「何を」「どれだけ」食べるかに加え、「いつ」食べるかを取り入れた栄養学で注目が高まっています。食べるタイミングを変えるだけで健康的な生活を送れる可能性があります。
まとめ|クロノタイプを知り、体内時計を整えよう
体内時計の乱れは心身にさまざまな影響を及ぼします。健康的な生活を送るためには、まずご自身のクロノタイプを理解し、生活習慣を見直して体内時計を整えることが重要です。時間栄養学を活用し、光、食事、運動の刺激を上手に取り入れて、体内時計を整えることから始めましょう。具体的な食事の取り方は次週以降にお伝えします。
■参考資料
・加藤久典, 藤原葉子著, 分子栄養学 改訂第2版, 株式会社羊土社, 東京, 2024.
・柴田重信 : 特集 時間栄養学の発展と最新知見, JATAFFジャーナル, 12: 10, 2024.
・田原優, 柴田重信著, Q&Aですらすらわかる 体内時計健康法 時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康, 株式会社杏林書院, 東京, 2020.
・国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部 三島和夫, 睡眠に関するセルフチェック.
・石原金由ら : 日本語版朝型-夜型(Morningness-Eveningness)質問紙による調査結果. 心理学研究. 57: 87 - 91, 1986.
※1 Wittmann M, Dinich J, Merrow M et al.Social jetlag: misalignment of biological and social time. Chronobiol Int. 23: 497 - 509, 2006.
※2 Roenneberg T, Allebrandt KV, et al. Social jetlag and obesity. Curr Biol, 22: 939 - 943, 2012.
兵庫県立大学栄養教育・栄養生理学研究室 監修







