# 時間栄養学
シフトワーカー向けの食事
シフトワーカーの健康を守る食べ方
2025/9/8

24時間活動し続ける現代社会は、夜勤やシフトワーク勤務の方々に支えられています。一方で、夜勤やシフトワークは、体に負担がかかりやすい働き方でもあります。食べ方で体への負担を減らし、健康を守るためのヒントをご紹介します。
※以下、夜勤やシフトワークをされている方を「シフトワーカー」と表現しています。
シフトワークの健康リスク
健康リスクと食べ方での予防
シフトワーカーは、通常の勤務形態と比べていくつかの健康リスクに直面しやすいことが知られています。夜勤では、昼間に寝て夜に働くため、休息と活動の時間が地球の自転(明暗サイクル)に合わず、体内時計が乱れやすくなります。シフトワークでは、勤務時間が周期的に変わるにつれ、睡眠と覚醒のリズムも変わり、ある週は朝から昼まで働き、翌週は夜から朝まで働くといった具合です。夜勤もシフトワークも、体内時計のコントロール下にある代謝などへの影響によって、肥満や糖尿病、高血圧や心臓病、がんなどにかかる率が高くなりがちです。
これらの健康リスクを減じるために、おすすめしたい食べ方があります。基本は、栄養バランスを意識した食事にすること。主食(炭水化物)、おかず(たんぱく質)、野菜のおかず(ミネラル・ビタミン・食物繊維)に、果物や乳製品(ヨーグルト)を「組み合わせ」て食べましょう。外食でのメニュー選び、コンビニやスーパーでの買い物、自宅での食事でも、「組み合わせ」を意識してみませんか。どんぶりや麺類を食べる時にも、野菜を一品追加することや、野菜100%ジュースを飲むなど、できるところからやってみましょう。夜間の勤務では、カフェインが入った飲料や甘い飲み物を多く選びがちです。カフェインは眠気覚ましに、甘い飲み物はストレス軽減に有効ですが、とり過ぎに注意しましょう。
社員食堂で大検証!「夜間の健康的な食事がメタボを改善!? 」
シフトワーカーの方に約2ヶ月間、夜勤の日に健康的な食事(ヘルシーセット)を食べて頂くことでメタボの指標が改善するかどうかを、ある職場で検証した報告があります。深夜の社員食堂で健康的な食事を食べたグループでは、今まで通りの食事を続けたグループよりも、お腹まわりのサイズダウンと体調の改善がみられました。ヘルシーセットの内容は、ご飯には押麦や雑穀米を混ぜ、たんばく質を含むおかずは肉よりも魚を中心にし、野菜料理を小鉢や付け合わせで2~3品とり入れたというものです。また、早食いせず、15〜20分かけてよく噛んで食べていただいたようです。特にカロリー制限などはしませんでしたが、夜間に食べる食事を健康的にすることで、メタボや肥満の予防、体調の改善につながる効果がわかりました(※1)。

シフトワーカーにおすすめの食べ方
シフトワーカーの方々に向けた食生活のポイントを紹介します(※2)。
食事バランスは4色・3食が基本

イラストのように、1食の中で主食・おかず・野菜/果物・乳製品の4つの色を揃えることを意識しましょう。そして欠食をしないことも大切です。特に、シフトのタイミングに合わせた食べ方で体を整えましょう。ここでは、①出勤前 ②勤務中(深夜の食事)③勤務後(就寝前)の各タイミングで意識したいポイントをご紹介します。
タイミング別のポイント
①出勤前
朝に食べる出勤前の食事は、内臓の体内時計を整えるのに役立ちます。朝以外の出勤前の食事は、次の休憩までの重要な活力源になるものです。食欲がない時も、少量でも食べるようにしましょう。忙しいときには、コンビニの活用もおすすめです。炭水化物とたんぱく質が一緒にとれるおにぎり(ツナや鮭がおすすめ)またはサンドイッチ、ここにゆで卵かサラダチキン、ヨーグルト(飲料またはカップのもの)というように選んでみてください。出勤前の大量の食事は、勤務中の眠気につながりやすいので、適量としましょう。
②勤務中(深夜の食事)
深夜の食事では、単品メニューの麺類、カレーライス、どんぶりものといった単品で簡単な食事が好まれやすい一方で、肉類や揚げ物などの脂質の多いメニューを食べる人も一定割合(調査では約4人に1人)いらっしゃいました。体重が気になる方は、肉より魚、揚げ物以外のおかずを選ぶようにし、サラダやおひたしで野菜を追加するとバランスが整います。また、深夜には甘さへの欲求が高まりやすいので、甘いデザートやソフトドリンクをとりたくなる時があるかもしれません。時々はヨーグルトや果物を使用したデザートを選んではいかがでしょうか。栄養バランスだけでなく、腸内の環境を整えるのにおすすめです。
③勤務後(就寝前)
寝る直前の食事は、入眠を妨げたり、睡眠の質を悪くしたりすることが知られています。帰宅したら早めに食べること、胃腸への負担を減らすために消化の良い、雑炊やうどん、鍋料理などがおすすめです。さらに、就寝前にコップ1杯程度の水やカフェインが少ないお茶(緑茶よりも麦茶)を飲むことで、就寝中の脱水予防の面からおすすめです。
カフェインを含む飲み物のとり方
カフェインを含む飲み物は、タイミングと量を意識することが大切です。起床後にカフェインを含む飲み物をとることで、脳が活性化し、作業効率や注意力の向上が期待できます。一方で、就寝前にカフェインを含む飲み物をとると、眠りにくくなるので、寝る3〜4時間前は避けましょう。深夜勤務中にカフェインを含む飲み物を飲む場合は、勤務の前半でとる方が良いでしょう。また、カフェインには適正量があることも知られています。摂取量の目安は、1日400mg、1回あたり200mgとされています(※3)。飲料に含まれるカフェイン量はコーヒーカップ1杯(140mL)あたりで計算すると、コーヒーで約80mg、紅茶で約40mg、煎茶で約30mg。エナジードリンクは、製品による差が大きいのですが1本(355mL)あたり約140mgのものもあります(※3、4)。1日の摂取目安量を超えない量で、飲むタイミングにも注意してください。
まとめ|ちょっとした食べ方のコツで体調や仕事のパフォーマンスの向上を
ここまで紹介した食べ方の中で、できそうなものはありましたか?勤務のシフトにあわせた食事によって、体調や気分が良くなり、仕事のパフォーマンスが向上し、眠気の防止や事故の予防にも役立ちます。忙しい日々の中でも、健康的な食習慣をとり入れて、充実した毎日を送りましょう。
■参考資料
※1 奥薗美代子ら : 社員食堂における夜間の健康的なセットメニュー提供が交替制勤務者のメタボリックシンドローム指標,体調,食態度に及ぼす効果 : 層別無作為化比較対照試験, 栄養学雑誌, 82: 209 - 219, 2024.
※2 兵庫県立大学 栄養教育・栄養生理学研究室HP, 時間栄養学 | 栄養教育・栄養生理学研究室 Laboratory of Nutrition Education and Nutritional Physiology
https://www.u-hyogo.ac.jp/shse/narumi/time_nutrition.html (2024年12月27日現在)
※3 内閣府食品安全委員会事務局 : 食品安全の基本とカフェインについて
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf (2025年1月31日現在)
※4 文部科学省, 日本標準食品成分表2020年版(八訂).
兵庫県立大学栄養教育・栄養生理学研究室 監修



